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Woker´s Live!!:現役・元風俗嬢がえがく日常、仕事、からだ

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Sex Workerが観るSex Work映画〜その18「タンジェリン」「マーラ・マーラ」「ヘロイン×ヒロイン」「サニー・レオーネ」「キングコブラ」「ロッコ」「僕と君と彼女の関係」「ユリゴコロ」 Photo

ついにスマートテレビというのを買った。
NetflixもAmazonプライムもYouTubeも地上波やケーブルテレビと変わらない感覚でテレビで見られるようになった。
NetflixはリモコンにNetflixボタンが付いているから特に楽。
自分のアカウントを育てる感覚があるし好きな時間に見られるから地上波より身近な感じすらある。

というわけで、最近Netflixばかり観ている。
なので今回は最近Netflixで観たセックスワーカー映画を紹介することにした。

ベスト5に絞ろうかなと思ったけど、しんどい作品を不用意に観てどんよりしてしまうことを避けて貰いたくて、観てしんどかったものも一緒に、観てよかった順に紹介することにした。


★オススメ第1位★
「タンジェリン」
http://tangerinefilm.jp

「タンジェリン」はLAで働くセックスワーカーが彼氏の浮気相手を探して街をうろつく姿を追う映画だ。

多くの映画はトランスセクュアル女性を男の俳優が演じている。
そのことはよく話題になったり批判されたりしているので、「タンジェリン」はよく引き合いに出されていた。
俳優としては経験が少ないトランス女性たちがが主人公を含めて登場するトランス女性役を全て演じているからだ。

そういう話題作だから「タンジェリン」を観るようによく薦められていたが、なんだか観る気になれなかった。
「ホンモノ」が演じているかどうかにあまり関心が無いし、恋人より恋人の浮気相手に怒りが向く人に興味が持てなかったからだ。

薦められたものを気軽に試せるのがNetflixのいいところだから「タンジェリン」を観ようとしたことはあったが、最初の5分で飽きてしまって中断を繰り返してしまい、なかなか最後まで観ることができなかった。

これから観る人にはタクシー運転手がセックスワーカーの性的サービスを受けるためにオート洗車場に行くとこまで頑張って観て欲しい。
そこまで観たら、素人俳優出演者ばかりのギクシャクした演技も、iPhoneで撮影したという画面も、彼氏の浮気相手を追い詰めるというつまらん導入も気にならなくなる。

一回観通すことができた後、あたし「タンジェリン」が大好きになった。
多分20回は観た。

登場人物が薄着の人ばかりだし、クリスマスの装飾がクラブ店員のサンタ帽しか無いので印象が薄いが、「タンジェリン」はクリスマスイブの話だ。
クリスマス映画に必要な要素は、惨めさと赦しと奇跡だと思うが「タンジェリン」には全てがある。

クリスマス映画というジャンルであたしが1番好きな映画は「スモーク」というポール・オースターの短編が原作になっている映画で、クリスマスには必ず「スモーク」を思い出して「スモーク」に影響されて過ごしている。
「タンジェリン」はあたしにとっては「スモーク」と同じ位置付けの映画なので「スモーク」が好きな全ての人にオススメしたい。

路上で客に声をかけて仕事をするセックスワークより労働環境が悪そうな店舗は出てくるし、ろくでもないヒモは出てくるが、
「タンジェリン」は独りのクリスマスにぴったりのいい映画だ。

とっつきは悪いけどぜひ観て欲しい。

もしクリスマスに何もすることがなかったら「スモーク」と二本立てにするのもいいと思うよ。
スモーク: http://eiga.com/movie/46029/


★オススメ第2位★
「マーラ・マーラ〜プエルトリコのトランスコミュニティに生きる美しい人々」
https://www.netflix.com/jp/title/80060284

プエルトリコの性的指向トランスコミュニティを描いたドキュメンタリー映画。
バタフライトランス基金(BTF)が2013年5/17に国会議事堂前で行った「性別や性的指向による雇用差別の禁止」を訴える集会を軸にトランスコミュニティのいろいろな人たちが描かれている。
セックスワーカーがセックスワークをしていることを隠さずにLGBTコミュニティーで活動ができていて、集会のアピールの中でもセックスワークのことを発言しているのが見所の1つだ。

公聴会や国会議事堂前集会でBTFのメンバーが発言する言葉がすごくいい。
「採用試験の時、どうすればただの性転換した女性として見らないで、仕事を探す女性として見てもらえるか?」
「自分が選んだ性別で仕事ができるよう法と闘う」
「コミュニティとして協力し団結しよう。1つになって過小評価を阻止しよう」

「皆が売春婦ではありません。売春するのは過小評価されて仕事をもらえないから」という訴えは全てのセックスワーカーに当てはまらないと思うが
「仕事が無いから売春をすると言われることに立ち向かう」という言葉もあり、バランスが取れていると感じた。

「同性愛も売春も正常な行為では無い。性別や性的指向による差別の禁止は社会全体の利益にならず、一部の人の特権になってしまう」という反対意見に立ち向かい勝利した人たちを眩しい気持ちで見た。

「マーラ・マーラ」でインタビューを受けているどの人も興味深い素敵な人ばかりだが、元ポルノ女優のセックスワーカーのサンディー(公聴会ではデニース・リベラと名乗っていたので、サンディーは芸名なのかも)が特に好きだった。
サンディーはセックスワークを辞めたいと思っている人だから、4年後の今は希望が叶っているといいなと思う。

BTFのHP: https://www.thebutterflyfoundation.org.au/


★オススメ第3位★
「ヘロイン×ヒロイン」
https://www.netflix.com/jp/Title/80192445

違法薬物の過剰摂取で亡くなる人がとても多いウエストバージニアで救護活動や支援活動に関わっている女性たちを追った短い映像。
布教活動の一環で夜回りをしてセックスワーカーたちに食べ物やコンドームを配る活動をしている人たちの中に元セックスワーカーがいて、インタビューも受けている。
こういう映像は見たことがなかったので、興味深く見た。

この映像に出てくる人たちは他にも救急の人や司法の人がいるが、どの人の違法薬物の問題への関わり方もいいなと思えた。
どんな支援の仕事をする人にも参考になると思うし、短さもとてもいいので、小さな勉強会なんかにとてもいいと思う。

元セックスワーカーも参加している団体ブラウンバッグミニストリー: http://brownbagministry.org


★オススメ第4位★
「サニー・レオーネ〜ポルノスターの光と影」
https://www.netflix.com/title/80132961

ボリウッド映画の女優になった元ポルノ女優のドキュメンタリー映画。
引退したポルノスターの実録映画はもう見過ぎて飽き飽きだなあと思ったが、先入観を捨てて観てみたら案外良かったドキュメンタリー映画。

「運命の恋人と出会って、もう他の人とセックスしたくないと思うようになったが、契約が残っている」という場合、運命の恋人とセックスするところを撮影してもらう、という選択肢を見つけ出してその選択肢を選ぶのは突飛なことに思えるがサニーとサニーの周りの人たちのインタビューを見ていると、その考えに至って当然だし、それを突飛と捉える自分がおかしな常識に囚われて考えを捻じ曲げてしまっているのだなと思うようになった。

母親に反対され、親族からつまはじきにされ、インドの恥と罵られて傷ついても、彼女のまっすぐさは失われていないように見えた。
まっすぐな彼女の言葉はどれも素晴らしい。

「レイプ事件が起きると私を非難する人がいる。的外れでがっかりするわ。レイプは私が生まれる前からある。始まりはインターネットやアダルト動画サイトの誕生より前よ。冷静に考えなさい。大昔からこの世に存在するものがインターネットの誕生で顕在化しただけ。通報する人も増えたしね。私やポルノの責任じゃない。(突然カメラ目線で)私を非難するのはやめて(ニッコリ)」
「私は何者かしら?演技やダンスが特別優れているとは思わない。でもお金を稼ぐことは誰よりも得意だった。もし着ている服を脱いで全世界に裸を見せるならしっかり稼ぎたいのよ。他の誰よりも稼げるわ(ものすごく真面目な顔で話してた)」

サニーの周囲の人の言葉もどれもとてもいい(特に弟との関係がいい。全てのセックスワーカーにサニーの弟みたいな弟がいたらいいのいになあ)が、もし子どもがポルノに出演したいと言ったらという質問の答えが二種類出ているのでそれを紹介したい。
一つはサニーの父の言葉で「決めたのなら全うしろ。病気や薬物に気をつけろ。自分を傷つけるようなマネはするな」。
もう一つはAV監督の言葉で「お金は稼げるからそれをサニーのように真っ当な事業に投資しろと言う。サニーが業界にいた10年間にただ男や女と寝ていただけで無一文だとしたら?彼女は大勢の男や女とヤっただけになる。父親なら頭にくるよ。だが稼いだ100万ドルを上手に使えばいい。真っ当な商売に投資したならチャンスをつかむことができる。この業界を引退する時にお金を持っていないとただやりまくっただけだ」。
二人の言葉には同意できない部分もある(特にお金が残せなかったら〜というとこ)が、もし子どもがポルノに出演したいと言ったらどうする?と聞きたい人たちの求める答えとズレていて、しかも自分の言葉で話そうとしているのが分かるのがいいと思う。

映画の最後のシーンでサニーも「いつか子どもに過去のポルノ出演のことを聞かれたらどうするか」という質問に答えていた。
「真実を話すと思う。ママはこれまでの人生で幾つか決断を下したの。納得できる決断で…」とキメ顔で言いかけてサニーは急に女優顔ではない顔を見せて「どう答えていいか分からない。混乱するわ。自分が育てた子どもがそんな質問を…答えが見つからないわ。まだ子どももいないのに」と言った。

すごくいいインタビューだと思った。

「子どもにどう言うか?」って質問ばかりどうかと思うよ、ホントに。
セックスワーカーに聞きすぎだわ。

そういう不快感や違和感のモヤモヤする世界のはるか上でキラキラしてるサニーを見てるのはとても楽しい。


★オススメ第5位★
「キングコブラ」
https://www.netflix.com/title/80127546

クリスチャン・スレーターがキングコブラと呼ばれるゲイポルノのフィルムメーカー役で出てくる映画。
ゲイポルノの契約問題とゲイの恋愛関係を描いた映画だけど、ゲイに興味がないとしてもポルノと契約、ポルノの仕事とスティグマについて考えるのにいい映画だし、有名な俳優が出てるし、セックス場面もグロくないので見やすい。
2007年に起きたゲイポルノ制作会社のプロデューサーが殺された事件を元に作られたものだそうだ。

ジェームズ・フランコがまたゲイ役で出ている。
ハーベイ・ミルクの恋人役もやってたジェームスだ。
ジェームズはゲイの夢の恋人なのだろうか?

この映画でのジェームズの役はオラネコで、オラネコって映画ではなかなか描かれないだと思うから「またゲイ役があなたなのね」という萎えも最小限だし、「俺たちに明日はない」のゲイカップル版みたいな切なさもある役だからいい。
クリスチャン・スレーターも熱演だし、物語の中心になる若いポルノスターもいいが、ジェームズカップルの方が主役かも?と思えるほどいい。

ジェームズのゲイ役では「アイ・アム・マイケル」が1番オススメ。

『アイ・アム・マイケル / I am Michael』
ゲイの活動家、マイケル・グラッツェの実話に基づく物語。セクシュアリティと信仰のはざ間で揺れ動く心。彼が乗り越えた試練と、その類いまれなる半生を描く。
https://www.netflix.com/title/80161640


★オススメ第6位★
「ロッコ〜ポルノスター引退宣言」
https://www.netflix.com/jp/title/80160358

巨根のポルノスターが引退するまでの1年を追ったドキュメンタリー。
巨根のポルノスターに求められるプレイって「おえ〜」ってなるプレイばっかりで見るのがしんどい。
正直最初の1時間はNetflixでポルノ映像を見たい人へのサービス映像のように感じるので、最初の1時間は飛ばしてみるのがいいと思う。
1時間分飛ばしても全然問題なく観られる。

ロッコの最後の作品で復帰するポルノ女優のケリーの言葉がいい。
「服従は恥では無いと思う。フェミニストの視点でそう思うわ。なぜ恥だと思うのかしら。女として求めたことなのに。自分が望んだことを楽しんでいる限り恥ずかしいとは思いたくないわ。強い女性だと堂々としていたい。そして私はセックス相手として強い男が必要なの。アナルでやりたいし、大勢を相手にしたい。かわい子ぶったりお金のためと割り切るのは嫌。ただの仕事じゃなく人生よ。女性の強さを表現するのが生きがいなの」
「50人とヤると男は英雄と呼ばれ女は売春婦と呼ばれる。それがむしろ原動力になっている。私を決めつけないでと言ってやりたい。境界線もゴールも自分で決める。復帰は自分のためでもある。この年齢になったせいで闘うべきことが見えてきた。女性たちの年齢詐称や豊胸手術にはうんざり。フェイクでバカみたいな演技はもう見たくない」
ケリーに足のケアをやってもらいながら話す元ポルノ女優の言葉もいい。
「世間はポルノ出演を仕事だと思ってない。セックス同好会の集まりじゃなく仕事なのに」
ケリーはその元女優の足をマッサージし、かかとを削り、ペディキュアをしながら話している。
性的な仕事に就いてた者同士に生まれるいい関係が見える貴重な場面だ。
最初の1時間であきらめないでこの場面を見られて良かったと思う。


★第7位★
「僕と君と彼女の関係」
https://www.netflix.com/jp/title/80103417

けん怠期の夫婦が関係を改善するために女性セックスワーカーと同居する連続コメディードラマ。
妻が実はバイセクシュアルという展開はちょっと面白いが、それ以外のところは面白がることが難しかった。
セックスワーカーが無防備すぎて、客とセックスワーカーの一線を無神経にどんどん越えてしまうのがどうにもこうにも怖くなってきて、コメディーとして楽しむことが難しいのだ。
もうちょっと我慢して見ていけば楽しめるかもしれないが一旦保留している。


Netflixでしか観られない作品もあるかもしれないが、少なくともタンジェリンはNetflix以外でも観らるはず。
タクシーがオート洗車場に入るまで我慢して見れば、物語がテンポ良く進み始めるので観てみてください。


★番外★久々に映画館で観た映画
「ユリゴコロ」
http://yurigokoro-movie.jp/sp/

いくらなんでもNetflixのことばかり書くのはどうかなと反省し、封切り日に映画館で「ユリゴコロ」を観てきた。
あらすじを読んで主人公が人生の一時期にセックスワークをしていた時期があるらしいことを知ったので、吉高由里子も松坂桃李も好きな顔だし、「ユリゴコロ」を観ることにした、という感じ。

ユリゴコロのセックスワークを描く場面はどれも観るのはしんどい場面ばかりだった。
しんどいのみならずバカみたいだなとも思った。
「娼婦」という言葉を発する時の言い回しがどれもホラー映画並みにおどろおどろしすぎて、何かのコントみたいに思えた。
なんだろあれ?

「娼婦」が2人出てくるんだけども、1人は自傷行為的な売春だし、もう1人は騙されて拉致監禁されているので売春でもなんでもなく事件だし、労働者じゃなく犯罪被害者だ。
結局セックスワークが描かれてる場面のない映画だった。

映画館って逃げ場がないからしんどい。Netflixの一時停止機能&視聴中の作品リストというサービスの優しさが無ければもう映画と向き合うことはできないのかも…。

吉高ちゃんと桃李の顔は良いです。

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職種
売り専です…お客さんも売る側のスタッフも男性の風俗です
自己紹介
大女優とも呼ばれています。気づいたらもうすぐ40歳。なんとか現役にしがみついています。
好きなものは、コーラ!!
皆さまの中には聞いたことがない仕事かもしれません。いろいろ聞いてくださると嬉しいです!!
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デリヘル嬢。
ここでは経験を元にしたフィクションを書いています。
すきな遊びは接客中にお客さんの目を盗んで白目になること。
苦手な仕事は自動回転ドアのホテル(なんか緊張するから)。
goodnight, sweetie http://goodnightsweetie.net/
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元風俗嬢 シングルマザー
風俗の仕事はだいたい10年ぐらいやりました。今は会社員です。
セックスワーカーとセクシュアルマイノリティー女性が
ちらっとでも登場する映画は観るようにしています。
オススメ映画があったらぜひ教えてください。
あたしはレズビアンだと思われてもいいのよ http://d.hatena.ne.jp/maki-ryu/
セックスワーカー自助グループ「SWEETLY」twitter https://twitter.com/SweetlyCafe
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庄司優美花
非本番系風俗中心に、都内で兼業風俗嬢を続けてます。仕事用のお上品な服装とヘアメイクに身を包みながら、こっそりとヘビメタやパンクを聴いてます。気性は荒いです。箱時代、お客とケンカして泣かせたことがあります。