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「『割り切り』さえしたら誰だって風俗嬢になれると思う?」 |
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風俗嬢ってのは、モラルさえ捨てることが出来れば、女なら誰でもなれると思われ過ぎじゃないだろうか? 医者をやってる女友達に「売春は何の能力もない女のセイフティネット」みたいなことを言われて、風俗嬢のあたしはかなりムッとしながら考えた。 友達に言われたことなので、聞き流して終わりってわけにはいかないからね。
その友達はそんな断言をするわりに風俗業のことを何も知らない。 ソープとヘルスの違いもご存知ない。
彼女の売春知識は古くさいに映画(親が娘を郭に売り飛ばす、みたいな)から得たものがほとんどで、現代の風俗街で女性が何をしてるかは知らないのだ。 (そんな人までもが売春について語りまくりたくなるってのも不思議なことだが、それはまた別の話)
彼女が無知なのは、ホントはどこにでもいるあたしたち風俗嬢が仕事を隠して暮らしてるせいでもある(風俗バレしたら暮らすのが面倒くさくなる世の中だから隠してるんだぞ)。
売春についてついつい語りたくなるぐらい売春に興味があるなら、ちょっと働いてみてくれたら(面接に行ってみるだけでも可)かなりいろんなことが分かると思うんだけど、彼女は働いてみてくれそうにないので、あたしは風俗で働いたことの無い人対象に「風俗嬢になってみる」というワークショップをやってみた。
内容は
・参加者はソープかヘルスか売り専かを選んで就職する。 ・客役はそれぞれの職場で働いたことのある人がやる。
・参加者はその店で長期間働くことを目標にする。ナンバーワン目指す。(つまり現実には使える「こんな店辞めてやる」ってのは無し。「お小遣い稼ぎ程度でいいや」ってのも無しで、生活費を稼ぐ)
・どの店も性病検査の義務があり、ひっかかったらクビになる設定。
やってみると、今まで売春について「売春とは〜」みたいな上っ面の話しかできなかった人たちと面白い話ができるようになった。
面白い話ってのは「コンドームをつけたがらない客」をどうする、みたいなことをリアルに考えたこともない人とはできないものなんだな。 客や店に生を強要されながら、上手に断れる日もあれば断れない日もあり、感染リスクと生活を天秤にかけてみる日もあり、性病検査はたいてい毎月ハラハラ、なんて気持ちを想像してもらえて初めて、売春婦は「古い日本映画の世界」に居るんじゃなく現実世界に生きてるって思ってもらえたかんじ。
ワークショップをしたおかげでやっと「カワイソーな人@苦界」というキメツケから解放されて「性的サービスを売るというややこしいことができる人@同じ街」だと思ってもらえるとっかかりができたってこと?
そう思うとちょいうんざりだけどさ。 風俗やったことない友達が困った顔で「安く買いたたかれそうで怖いわー」なんて言って一緒に笑えたのはとてもとても楽しかった。