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Woker´s Live!!:現役・元風俗嬢がえがく日常、仕事、からだ

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孤独・固執・意固地・わたしはセックスワーカー
藤村 綾
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はじめまして。風俗嬢歴 15年の藤村 綾と申します。今回『ガールズヘルスラボ』さん内、コラムにて寄稿するにあたり(ご依頼ありがとうございます)何を書こうか?と悩みに悩んだ末、まだ、どの媒体にも書いたことのない、『藤村 綾』という風俗嬢がどうやって出来たかを赤裸々に書いていきたいと思います。

わたしの過去を知る人は本当に少ないと思います。(いないかも)何故なら、わたし自身も幼少期のことを余り覚えていないのです。良く、ドラマや小説などで、「あの時の記憶がないんですよー」なんて台詞を訊いたことがありませんか?まさにそれなのです。父親は既に他界しており、母親とは誠に仲が悪くてもう何年も会っておらず、妹がいるのですが、姉(わたし)が淫らな風俗嬢をしていることを疎ましく思っていて、疎遠。弟はかろうじて電話の出来る唯一の身内です。

今思うと、幼少期から親に愛されたという記憶がありません。父親はトラックの運転手でした。トラック運転手って孤独な仕事です。父親の唯一の趣味がお酒とセックスでした。煽るよう酒を呑み、苛立と焦燥を母親に打つけ、酒に酔うと母親を探しまくり、見つけると、強引に服を脱がせ、わたしたち、兄弟がいる中で、セックスを始めるのです。まだ幼いわたしたち兄弟は薄暗い中で行われている行為をただ、泣きじゃくりながら、傍観する以外なかった。母親は「お前らはあっちにいけ!!」と金切り声をあげまくしたてて、わたしたちを手で追い払いました。それが終わると、今度は打擲音が聞こえてきて、母親が何度も往復ビンタを父親から受けていました。一晩中、怒声と、啜り泣きと、打擲音が響く中、まんじりともせずに、わたしは学校に行きました。大体週に一回はこんな非常な事態があり、その度にわたしは、台所にある包丁を布団の下に忍ばせていました。「あいつ、いつか殺してやる」と。毎回、毎回、念じるように。父親は重度の酒乱だったのです。酒乱は病気です。多分『統合失調症』でした。父親は小心者で酒がないと本音も言えない小さな人でした。あたしは悲痛な目でいつも父親を見ていました。普段もあまり話した記憶もありません。そして家族団欒という名の当たり前のことをした記憶もありません。

わたしが17歳の時に、母親が家を出ました。父親の酒乱と強制的なセックスに堪え兼ねた結果です。その時に別の男がいて力添えをしてくれ、家も用意してくれて出ていきました。かなり用意周到でした。後に知ったのですが、その男と母親は何年も恋仲だったのです。全く皆無でした。母親は酒乱の父親に殴られても、蹴られても、なじられても、微動だしなかったのは、母親自体が浮気をしていたこともあり、少しの罪悪感を感じつつ惰性で家にいたのでしょう。ずっとずっと、家を出るタイミングを見計らっていたと思います。何年も前からの計画的な行動だったのです。それを考慮すると浅はかな女です。わたしに少しでも相談してくれていたら、まだ17歳だったわたしでも何かしらアドバイスは出来たと思います。母親が家出をした後は、全くわたしは連絡取れず、父親の元にいました。

「なんで、お前だけ、いるんだ、母さんの居場所を教えろ!!」とわたしが訊きたい台詞をわたしに投げてきて、わたしは毎日父親から罵詈雑言と暴力を震われました。怖かった。首を締められ、顔を殴られて。本当に殺されそうになりました。半年後くらいに母親から連絡があり、母親と会うタイミングと同時わたしは家を出ました。そしてまだ高校3年生でしたが、一人暮らしをしました。母親の浮気相手が借りてくれたのです。この時ばかりは、早く大人になって自分で金を稼ぎたい、と切実に感じた瞬間でした。

まだ、何も出来ない未成年。一人では家も借りられない幼い自分。苛立は援助交際という名の悪戯な行為に代償されわたしは廃っていきました。高校は何とか卒業し、直ぐ、スナックで働き始めたと同じ頃、ピンクコンパニオンをやり、愛人をやり、酒、タバコ、シンナーに溺れ身体はボロボロでした。性感染症にもまだ18歳だったのに、淋病、クラミジアにかかりました。その頃愛人をしていた男に『ちょんの間』に売られ、従事しました。ゴムもなし。シャワーもなし。まだ若いわたしの身体をもの珍しく遠方からお客さんが噂を聞きつけてきて、わたしは、1年間で述べ、200人の男と寝ました。病気も何度もなったし、それより、何より、心の精神状態が疲弊し過ぎて、拒食症になり、見る見る痩せて、やつれていきました。

19歳のわたし。全く覇気がなく、快活でもなく、19歳という若さも無くし、最早、ただの穴のある人形になりました。心と身体が乖離し、わたしが、わたしでなくなったのです。孤独でした。お客さんとの他愛ない話しの中、家族の話しをされると辛くて涙したこともあります。そんな中で、身体を提供し、喜んでくれる男がいる、わたしを必要としてくれる人がいる。と、仕事に対し、マイナスではなく、プラスにとる様になりました。ちょんの間を辞め、箱ヘルに移り、そこでも、男に身体を求められ、触られて、サービスをすればその分の見返りがあると躍起になり、指名客をたくさんつくりました。

風俗嬢の仕事を最早天職と思っていた矢先、妊娠が発覚。その当時、付き合っていた男がいて、わたしは産む決意をしました。親の愛情を知らないのに、子どもを愛せるか?子どもに愛情を注げるかの不安の方が大きく戸惑い、悩み、嘆きました。しかし、そんな疑念は不要で、自分で産み落とした子は本当に可愛く、その一年後にもう一人妊娠し、2人目を出産。

よく、子どもを産むと親の気持ちがわかる。と言いますが、わたしには感情の欠如でしょうか。全く持ってわかりません。今、現在もそうです。親がいてこそのわたし。それはわかっています。わたしも親です。けれど、どうしてあの時わたしを捨てたの、どうしてあの時、わたしの首を締めたの。父親や母親に訊きたい。わたしは愛されていたのか、本当は産まれて来なかった方がよかったのではないのか。わたしが産まれてきたせいで……。自分の存在を否定し、意固地になり、常に自分をつくることを覚えてしまったわたしはいつも孤独という見えないものと戦っている気がします。

子どもを産んでも、風俗の世界から抜け出せないでいるわたし。もちろん好きでこの仕事をしているけれど、未だに昔と何ら変わらず思うこと。親に愛されなかった身体をいろいろな男に晒し、触られ、穢したいと。自分を追い込んでいるのではなく、今は亡き両親に対しての最悪で最低な親不幸なのかも知れません。わたし自身も親になったのに、過去の思い出したくない忌まわしい時間で止まっている。忘れたいけれど、脳裡に糊のようにへばりついた黒い過去は一生ついて回るだろう。セックスワーカーとして働いている理由はお金ではない。自分への戒めと、親への反抗に過ぎない。幼い時に受けた深い傷は大人になっても、癒えやしない。多分死ぬまでついて回ると思います。

わたしは文字にすることでしか、上手く表現出来ない不器用な女です。『藤村 綾』という人物はわたしが意図的に作り上げた女。強固に固執した意固地な女なのです。わたしはわたしが嫌いです。しかし、子どもは無性の愛をわたしなりに注いでいるつもりです。いつになったらわたしは変われるのだろうか。無理に変わる必要はないけれど、人を羨んでしまうわたしの醜い心が本当に大嫌いです。

風俗嬢は家庭環境が悪い子が多いという定見は偏見ですが、正直なところ風俗嬢は少なからずして心に傷がある子が多い気がします。わたしがそうであるように。風俗嬢を非難している訳ではありませんが。心の中の闇はいつか時間が解決してくれると信じています。なので、とりあえずは今を必死に生きるしかない。そう思っています。

幼少期に育った家の近くに仕事(デリヘル)に行くことが時折あるのだけれど、その場所に行くと、足が竦んで、頭が痛くなり、耳鳴りがしたて、心臓が躍ってしまう。ドラマの様な本当のお話しです。最後まで読んで下さりありがとうございました。これからも執筆は続けて行きたいと思います。いずれは、現役を引退し、何かしら自分の経験を生かし風俗嬢の為にアドバイスが出来るようなセックスワーカーになりたいと思っております。



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現役風俗嬢・風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版コラム連載。高収入求人サイト『モモコちゃんねる』内。足りない……。足りない……。小説連載。趣味は喫茶店で人の話しを盗み聞きすること。笑 猫が好き。
基本ぼーっとしています。Twitter:@AyaIssue


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職種
売り専です…お客さんも売る側のスタッフも男性の風俗です
自己紹介
大女優とも呼ばれています。気づいたらもうすぐ40歳。なんとか現役にしがみついています。
好きなものは、コーラ!!
皆さまの中には聞いたことがない仕事かもしれません。いろいろ聞いてくださると嬉しいです!!
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デリヘル嬢。
ここでは経験を元にしたフィクションを書いています。
すきな遊びは接客中にお客さんの目を盗んで白目になること。
苦手な仕事は自動回転ドアのホテル(なんか緊張するから)。
goodnight, sweetie http://goodnightsweetie.net/
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元風俗嬢 シングルマザー
風俗の仕事はだいたい10年ぐらいやりました。今は会社員です。
セックスワーカーとセクシュアルマイノリティー女性が
ちらっとでも登場する映画は観るようにしています。
オススメ映画があったらぜひ教えてください。
あたしはレズビアンだと思われてもいいのよ http://d.hatena.ne.jp/maki-ryu/
セックスワーカー自助グループ「SWEETLY」twitter https://twitter.com/SweetlyCafe
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庄司優美花
非本番系風俗中心に、都内で兼業風俗嬢を続けてます。仕事用のお上品な服装とヘアメイクに身を包みながら、こっそりとヘビメタやパンクを聴いてます。気性は荒いです。箱時代、お客とケンカして泣かせたことがあります。