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Sex Workerが観るSex Work映画〜その16 「デッドプール」と「ライオットクラブ」 Photo

今回紹介する映画は、セックスワークがテーマじゃないけどセックスワーカーが重要な役割で登場する映画2本立て。
こういうタイプの映画は「セックスワーク映画」で検索しても引っかからないから、このコラムで紹介しとくと、後で便利。

【デッドプール】

デッドプールはアメコミヒーロー映画。
デッドプールはヒーローになる前から付き合ってるセックスワーカーの恋人とヒーローになった後も別れてないし、仕事を辞めてくれなんて一度も言わないし、ヒモでもないヒーローだ。

デッドプールの恋人のヴァネッサは「シスターマーガレットのバー」で働いている。
シスターマーガレットのバーはタンクトップにショートパンツ姿の女子たちがウエイトレスとして働いている店で、バックルームでの仕事もあるように描写されている。
システムははっきり描かれていなくて、料金に関する描写はデッドプールが今持ってる全額275ドルで何ができるかと質問し、ヴァネッサが「あなたがしたいことを48分間」と答えて、その後店外デートしているシーンがあるぐらいだ。
プレイ内容はもっとぼんやりとしか描かれていない。
フェラチオの話があるぐらいだ。
シスターマーガレットの店の女子たちはウエイトレスをしながら店内指名を貰ってバックルームで20分100ドルぐらいの料金でセックスワークをしている、フェラチオまではやってる、ヴァネッサとデッドプーの店外デートはもしかしたらシステム外のことかな、と思う。

ヴァネッサはスーパーヒーローに守ってもらわないといけないようなか弱い女性ではない。
ヴァネッサはセクハラ発言をしながら通りすがりにお尻を乱暴に触るをバーの客にすぐ「謝れ」と言うことができる。
謝るつもりで「俺って脳と口が直結して…」とさらにくだらない弁解をする客を一撃で退散させることもできる。

ヴァネッサとデッドプールの出会いの場面のセリフがいい。

ヴァネッサ「ちょっと!商品に触らないでよ」
デッドプール「てことは体売ってるわけ?」
ヴ「ええ」
デ「苦労したの?」

不幸自慢大会が始まる。

ヴ「あなたよりはね。生まれる前にパパが失踪した」
デ「俺の父は受精前に消えた」
ヴ「煙草の火を押しつけられた?」
デ「煙草はそうやって消すもんだろ?」
ヴ「性的虐待も受けた?」
デ「俺はおじから」
ヴ「あたしはおじたち。まわされたの」

不幸自慢大会のセンスがあるってことは、しんどいことをいくつも経験してそれを笑い話に変えて独りで乗り越えきた人だってことだ。

初対面で説明抜きで不幸自慢大会のやりとりを楽しめる人と出会えるって素晴らしい!
こういう人と出会ったら大抵は大親友になっちゃうけど、セックスの相性も良くて、恋愛も盛り上がるなんてもう奇跡!
アメコミヒーロー映画の下品版だと思ってたら、きゅんとするラブコメ場面があってお得だった。
あたしたちの日常は全然違う。
ヴァネッサとデッドプールの出会いの場面は、風俗嬢の不幸話が大好物で必ず「どうしてこんな仕事してるの?」とお決まりのバカ質問をしてくる客用に「勃起の邪魔にならない程度に不幸な作り話」を用意しておくあたしたちの日常に丁度いい胸きゅんだと思う。

2人の相性がピッタリですごくいい関係だってことはカレンダーガールという1960年のヒット曲に合わせて1年の交際期間をコンパクトにまとめたシーンで描かれる。
ほとんどが露骨なセックスシーンだけど、カレンダーガール効果でいい感じにリアルさが薄まってるしヴァネッサが「今日は国際女性デーよ」と言いながらペニバンをつける場面が挟まれてて笑える。
カレンダーガールシーンを見ると愛あるセックスって素敵!と思える。
このシーンを見て「セックスワーカーは愛のあるセックスを知らない人ではなく、恋人と愛情を育むセックスも仕事としてのセックスもできる人なのだな」と思ってもらえたらいいなと思う。

セックスワーカーの恋人でいると面倒くさいことがある。
「金で誰とでもやる女」が恋人だというバカにされ方をすることだ。
デッドプールも拷問される場面で悪役に「お前はスーパーヒーローじゃない。軍を不名誉除隊したし、恋人は娼婦だ」と言われていた。
デッドプールは取り合わないけど。

プロポーズ場面でデッドプールとヴァネッサが言うセリフは
「俺たちはジグソーパズルだ」「いびつな形をしてる」「でもはめ合わせれば完成する」だ。
品行方正な人にならないままスーパーヒーローになるデッドプールとセックスワーカーであり続けながら恋人を愛するヴァネッサにぴったりなプロポーズだと思う。

プロポーズ場面でヴァネッサとデッドプールが着てるクリスマス柄のセーターは今ファッション界大注目のアグリーセーターだ。
アメコミファンのセックスワーカーと元客が結婚式をするなら、2次会の衣装にあのヴァネッサとデッドプールのアグリーセーターはぴったりじゃないかな。
周りのセックスワーカーと元客の結婚は何度か聞いたけど、二人の出会いを隠さない結婚パーティーにお呼ばれしたことがないので、いつかそんなパーティーにお呼ばれしたい。
招待されたらあのアグリーセーターを完コピして編んでプレゼントしたいなあと思う。
完コピは面倒くさそうだし、アグリーセーターブームが続いてる間に結婚があるか分からないし、そんなバカみたいなことに付き合ってくれる人はなかなかいないと思うけど、本当にそんなことができたらいいな。

「デッドプール」 http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/


【ライオットクラブ】

「ライオットクラブ」はイギリスの名門大学で上流階級のエリートだけが入会できるクラブ会員である10人の男子大学生を描いた映画で、「アナザーカントリー(1984年のイギリス映画。舞台劇が原作なのもライオットクラブと同じ)」から英国美少年満喫シーンを省いたような仕上がりになっている。

この映画で紹介したいのは映画が始まって1時間ぐらい経ってからの、戸外のレストランにセックスワーカーを呼ぶシーンだ。

呼ばれたセックスワーカーは地元育ちの人でレストランで働いている同級生の姉に顔バレしてしまい、レストランオーナーに「商売はよそでやってくれ」と言われてレストランに入店することもできず、客に連絡を取ってこっそり裏口から入る。

ライオットクラブ会員たちは酒癖が悪くて、どのレストランも出禁になっているから、馴染みがない郊外の家族連れが記念日に使うようなレストランに行って、利用したことのないエスコートサービスのセックスワーカーを呼んでいる。
世間知らずで無粋で、セックスワーカーを同じ人間と思ってないから、安心して働ける場所かどうかなんて考えないのだ。
その上、初対面のセックスワーカーに事前に説明なしで10人の相手をしろと要求する。

何も知らずに呼ばれたチャーリーというセックスワーカーは、酔っ払った無礼な10人の若い男たちに絡まれるが、愛想笑いやごますりを使わず妥協もしないでその場を切り抜ける。

ざっくりまとめるとこういうやりとりがある。

ライオットクラブ会員「彼女はチャーリー。コールガールって言うのかな」
チャーリー「エスコートよ」「別室があるのよね?」
ラ「いや、この部屋でテーブルの下に入って全員にフェラチオしてくれ」「一人ずつでも、両手と口を使って3人同時にでもいいよ」
チ「私はディナーやデートから始めるの。性的サービスのオプションをつけるかどうかも予約の時に聞かれたはずよ」
ラ「元締めに内緒で君に大金を払う」「紳士的に振る舞っているが僕は心底ムカついている」「女に屈する男じゃない」「君がやってくれないと僕は笑いものになるんだ」「寝るだけだろ」
チ「私は人間よ。おもちゃじゃないの」
ラ「黙って従え!」「なぜ逆らう?売春婦(whore)だろ?」
チ「そろそろ失礼するわ」

チャーリーのように切り抜けることは誰にでもできることじゃないし、愛想笑いをしてもごますりをしても妥協をしても、生きて帰ることが大切なことだ。
だけど、チャーリーがこう切り抜ける場面を見られたのはとてもよかった。
入り口で同級生の姉に顔バレして嫌な目にあったし、稼ぎにならなかったし、散々な1日になったけど、チャーリーがああいうふうな切り抜け方をしたという描かれ方でよかった。

このシーンの後さらに荒れたライオットクラブの会員たちは、チャーリーと違ってお金で妥協し愛想笑いをしていたレストランオーナーに集団で暴力を振るい店を破壊してしまうのだ。
ライオットクラブの悪人ぶりを表現するには売春婦を輪姦するより善良なレストランオーナーを半殺しにする方が効果的だったってだけのことかもしれないけど、筋を通したセックスワーカーが無事だったというのは救いだ。

この映画はライオットクラブの会員みたいな奴には結局バチは当たらないんだっていう、全然スッキリしない映画なので、チャーリーのシーンだけを覚えておくと心に良い。

「ライオットクラブ」 http://www.riot-club.net

「アナザー・カントリー」http://classic.unplugged.cc/anothercountry/

「アナザー・カントリー」の主演ルパート・エベレットの最近のインタビュー(「やおい」的な深読みについて「ファンタスティック」と言ってるらしい。このインタビュー記事に付いてる近影はちょっとしたショック。アナザー・カントリーのラストシーンの特殊メイク老けよりリアルよ、当たり前だけど)
http://eiga.com/news/20121111/12/

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職種
売り専です…お客さんも売る側のスタッフも男性の風俗です
自己紹介
大女優とも呼ばれています。気づいたらもうすぐ40歳。なんとか現役にしがみついています。
好きなものは、コーラ!!
皆さまの中には聞いたことがない仕事かもしれません。いろいろ聞いてくださると嬉しいです!!
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デリヘル嬢。
ここでは経験を元にしたフィクションを書いています。
すきな遊びは接客中にお客さんの目を盗んで白目になること。
苦手な仕事は自動回転ドアのホテル(なんか緊張するから)。
goodnight, sweetie http://goodnightsweetie.net/
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元風俗嬢 シングルマザー
風俗の仕事はだいたい10年ぐらいやりました。今は会社員です。
セックスワーカーとセクシュアルマイノリティー女性が
ちらっとでも登場する映画は観るようにしています。
オススメ映画があったらぜひ教えてください。
あたしはレズビアンだと思われてもいいのよ http://d.hatena.ne.jp/maki-ryu/
セックスワーカー自助グループ「SWEETLY」twitter https://twitter.com/SweetlyCafe
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庄司優美花
非本番系風俗中心に、都内で兼業風俗嬢を続けてます。仕事用のお上品な服装とヘアメイクに身を包みながら、こっそりとヘビメタやパンクを聴いてます。気性は荒いです。箱時代、お客とケンカして泣かせたことがあります。