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Sex Workerが観るSex Work映画〜その19 「ガールフレンド・エクスペリエンス(The Girlfriend Experience)シーズン1〜3」 |
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あたしのNetflix生活は続いているが、周りの人と話すとAmazonビデオ生活の人のほうが多いような印象がある。
視聴頻度はNetflix 9:Amazon 1ぐらいだがあたしもAmazonで映画やらドラマやらを観ている。
最近Amazonで観たもので1番オススメなのはガールフレンド・エクスペリエンスという連続ドラマだ。
ガールフレンド・エクスペリエンスというのは恋人プレイという意味らしい。
「セックスと嘘とビデオテープ」のスティーヴン・ソダーバーグが同タイトルの監督作品をプロデューサーとしてドラマ化したものとのこと(映画版を観ていないのでふわっとした知識です)。
シーズン3に出てくる客はやたらとセックスと嘘とビデオテープっぽいのであの気持ち悪さを懐かしみたい人はシーズン3から観るのをオススメする。
ガールフレンド・エクスペリエンスはセックスワーカーが主人公のドラマが3シーズン分もある。
普段ちょい役で数シーンしか登場しないセックスワーカーに注目して大事に味わうようにして観ているので、そこから比べると多幸感と言ってもいい気分になる。
3シーズンの主人公はそれぞれ別のセックスワーカーで、仕事場面だけ描いたものでもなく、「転落人生」を見せるためだけのストーリーでもないって、そんなドラマ今までなかった。
各シーズンをざっくり説明すると、
シーズン1は弁護士もので素人女性がセックスワーカーになるまでが描かれていて、
シーズン2は政治もので現役セックスワーカーが描かれていて、
シーズン3は麻薬組織もので元セックスワーカーが描かれている。
★シーズン1〜クリスティーン
クリスティーンは月数回エスコート嬢をしている大学の友だちきっかけでエスコート嬢を始める。
友だちに紹介して貰った仲介者との対話が良かった。
クリスティーン「自分でできるのに手数料を30パーセント払ってあなたと組む理由は?」
仲介者「客を吟味している時間に客と居ればさらに稼げる。私は上司じゃないインフラよ」
実際は雇用関係にあるのに個人事業主扱いされる働き方で40〜50パーセントぐらいの手数料を取られた上に遅刻当欠罰金有りの働き方だったあたしの現役生活を振り返ると、手数料30パーセントでインフラ自称してくる仲介者と働けるって素晴らしいなーと思ってしまうが、
自分の価値を見失わず「手数料30パーセントは高い」という気持ちを持ち続けることができるクリスティーンを素敵と思った。
金回りが悪くなった常連客が「君に会わずにいられなくて借金している。料金を少し下げられないか?(クリスティーンは1時間1500ドルぐらいのワーカー)」と言ってきた時にクリスティーンは、まず会う頻度を下げる提案をし、私を困らせないでと言い、いい方法がないか考えてみると言って嬉しがらせて、後日無理と伝えていた。
「私を困らせないで」って使えるなーと学んだ。
自分の価値を見失わないセックスワーカーに学ぶことは多い。
クリスティーンは大学に通いつつ弁護士事務所のインターンもやりつつセックスワークもしていて、弁護士事務所での出来事がセックスワークと同じぐらいの比重で描かれており、
セックスワークのエピソードの中にも法律に関わることがいくつか出てくる。
「急死した裕福な顧客の遺書に遺産の一部(50万ドル)を遺すと書いてあり、それを受け取ると源氏名の自分と本名の自分が同一人物であることが公の記録として残ってしまう問題」に直面するエピソードで、セックスワークの顧客の弁護士に相談する場面がある。
遺産相続問題を解決してほしいと依頼したクリスティーンに、弁護士客が「デートの誘いだと思ったのにビジネスランチか」と言ったんだけど、
クリスティーンの返事は「(あなたと私が会う時は)いつも仕事よ」だった。
セックスワーカーが客に声に出して言いたい台詞不動の第1位は「いつも仕事だよ」じゃないかなと思っているので、すごくスッキリする場面だった。
盗撮ビデオの流出や親バレなどしんどい展開もあるが、見てて苦しくなることが無いのはクリスティーンの振る舞いに冷静さと賢さがあるからだと思う。
★シーズン2〜アンナ
最初の場面に出てくる客が跪いてフェラチオするアンナの後頭部を掴んでグイグイしていて、嫌な客だなーと思って見ていたら、それは嫌な客演出だったようでアンナはその客(政治家)を盗撮して売っていた。
盗撮ビデオを買う側になぜこんなことをするのか聞かれてアンナは「女性蔑視のクソ野郎だから」と答えていた。
フェラチオする人(クンニする人含む)の後頭部を持ってくる奴はその後何人か出てくるが、皆クソ野郎キャラだった。
ガールフレンド・エクスペリエンスシーズン2は「フェラチオ(クンニ)する人の後頭部を持つことはマナーに反するサイテー行為で、すると必ずバチが当たる」ということを知らしめるためのドラマなのかもしれない。
セックスの後アンナが客に仕事は好きか?と聞かれて「私は孤独が好き。でも客は社交的で自分の話ばかり。聞いてると退屈になる。でも会う。セックスが得意で、仕事だから」と答える。
客が「たしかに上手だった」と返して、それを受けてアンナが微笑んで「あなたもね」と言ってイチャイチャムードを取り戻していた。
「仕事が好きか?」と客に質問されるというよくあるくだらない問題の正解のひとつだなと思った。
シーズン2の本当のサブタイトルは「アンナとエリカ」で、シーズン2はアンナとアンナが客として出会ったエリカの恋の始まりから終わりまでの話だ。
Lドラマとしても見応えがある。アンナの気持ちが盛り上がってエリカと子どもを持ちたいという気持ちになり男性顧客を利用して妊娠しエリカと諍いになる展開があるんだけど、同じことを「sex-workerが観るsex-work映画その9」で紹介した「サティスファクション」のヘザーもやったのに、アンナとヘザーのした同じ行動の印象が全然違うことが面白いと思えた。
★シーズン3〜ブリア
ブリアは証人保護プログラムで新生活を始める元エスコート嬢だ。
3つのシーズンの中でブリアのストーリーが1番心がざわざわした。
ブリアが新生活で着る安いカジュアルな服は全然ブリアに似合っておらず、新生活に必要無い高価で露出度の高い服の方が断然似合っている。
証人保護プログラムで用意された家も工場の仕事もブリアに全然似合っていない。
ブリアが似合う服装や家や車をブリア自身の稼ぎで入手するなら、元の仕事に戻るしかないように見える。
それは堕落だろうか?
自分に似合う物を理解し、それを諦めず、手に入れようと努力しているだけなのでは?と思う。
移り住んだ狭い部屋で、隠れて暮らすためには必要無いはずなのに持ってきた露出度の高い美しい服に着替えてセクシーな写真を自撮りし、工場勤務の合間に内緒でパソコンを拝借し、ネットの愛人マッチングサイトで新しい客を探すブリアは惨めったらしく見える。
でも本当に惨めかな?と考える。
どこに行こうと自分の望むものを得る力があり、諦めない気持ちがあるってすごいことなのではないかな?
惨めに見えてしまうのは愛人マッチングサイトの持ついかがわしいイメージに引っ張られているだけなのでは?
あたしはセックスワーカーだった頃仕事用に着ていた服はどれも好きじゃなかったからもう着たく無いし、セックスワークをしていた頃に必要だった金額は今は必要無くなった。
ただそれだけのことで、あたしがもうセックスワークをやらないのは改心したからではないし、ブリアがセックスワークを再開するのは堕落したからではない。
新しい環境で仕事を再スタートする時、以前ならお断りしてたクズ客に安い値段で性的サービスを売るところから始める必要が出てくるのはしんどいが、それは惨めなことと見ず、初心に返って一からスタートできる強さだと見ることができる。
シーズン2にもちょい役で元セックスワーカーが出てきて、彼女の復帰に至るまでの夫問題やら現役の友だちに利用される危険などについていろいろ考えさせられた。
ブリアのこととは種類が違う問題だけど。
セックスワークを始めることや辞めることはシンプルにそれだけのことで終われず、いろんな意味がついてしまう。
気をつけていても妙な印象や意味を付けてしまうから気をつけなければ、と思う。
印象的なセリフや見どころがたくさんあって、全シーズン飽きずに見られるので、Amazonプライムを利用してるならぜひ観て欲しい。
※シーズン1/2/3と書いてますが、正確にはシーズン1/シーズン201/シーズン202と表記されています。シーズン1〜202と書くのはどうか?と思い、1.2.3と書いてみました。
ガールフレンド・エクスペリエンスシーズン1〜3 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B01HV54U70